ソーシャルハーツの誕生
真夏の日本でフィールドスタディーを終えた私は、2012年8月下旬にハーバード大学に戻った。9月に入って、ロスに留学中の雅史がボストンへ移って来て、親子二人の共同生活が始まった。同居人の長男は、私が目指そうとしているソーシャルイノベーションワーク「生涯学習による高齢者自立支援」に興味を示してくれた。
我々は、ハーバード大学フェロー特別研修室でほぼ毎晩議論を重ねた。気が付けば、毎回時計の針は深夜1時過ぎを指している。二人は何かに取りつかれたかのように夢中になって、熱く語り合った。特にNPO組織団体名を決定に至るまで幾度も夜食を口にした。そして遂に我々二人が納得する名称、Social Heartsに辿り着いた。幸いにも、同僚のハーバード大学フェロー達もSocial Heartsを気に入ってくれた。
特定非営利活動法人、ソーシャルハーツ(Social Hearts)は、Social(社会の)Hearts(こころ)を反映させる事業活動を核とし、ミッションは、私達は一人ひとりの高齢者が“Happy Second Life “ -生きがいを見出し、幸せな第2の人生の実現を目指すことと定めた。
ソーシャルハーツは、補助金や寄付に依存することなく、NPO法人として新規事業を創出し、自らの尽力で収益を生み出し、ソーシャルハーツの活動資金に充当するハイブリッド(異なる種類、事業を組み合わせること)モデルを目指して突き進むことを誓いとした。
私は約1年に渡るハーバード大学院フェロープログラム(ALI)を修了し、
2013年1月6日(日)ジェネラル・エドワード・ローレンスローガン国際空港(通称:ボストン国際空港)を出発し、帰国の途に就いた。
隣の席には、NPO法人ソーシャルハーツ副代表理事に内定している川上雅史が腕を組んだまま一点を見据えていた。とても頼もしく感じた瞬間だった。