活動記 in 大槌
当年80歳とは思えない大槌町吉里吉里在住の老女は静かに語り始めた。「震災直後よりも今が辛いです。」「一番辛いのは、物質欲ではない、震災で犠牲になった長年の友や親族を思い浮かべると、悔しい気持ちになります。」「どのようにもがき苦しんで亡くなったのだろうかと思いば思う程、、、」と目を伏せた。
老女は千葉県銚子の出身で、18歳のときに大槌町吉里吉里から銚子に来ていた漁師と出会い、家族の反対を押し切って20歳で漁師の彼を追いかけて吉里吉里に嫁いだ。片田舎での生活は都会生活しか知らなかった彼女には想像を絶する月日であった。集落の住人からよそ者(旅人)として扱われた。水汲みの大変さは今も鮮明に記憶している。振り返ると大槌町に住み着いて60年が過ぎた。息子と娘さんが誕生し、今では孫5人とひ孫3人に恵まれ、新たな生きがいを胸に余生を過ごされている。